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「研究”開発”にチャレンジしよう」
技術士(化学部門) 小野 健雄
自然科学分野において「研究」とは期間、予算などに縛られずに真理または真実を求める活動であり、 「開発」とは目的、目標、予算、期間等を明確に定めて社会に有効な物を作りだす活動を言います。 英語ではResearch & Developmentと明確に分けて表現していますが、日本語では研究開発と言う 一つの言葉として使われていることは誠に興味深いことです。 さて、研究開発には創造性が最も重要ですが、発想の転換も重要であると考えます。 昨年ノーベル賞を受賞した吉野彰氏は研究開発には関係のない分野にも興味を持つことが重要であり、 失敗続き だったが暇で暇でしょうがない時にポット新しい考えが浮かんだと発想の転換の重要性を言っています。 また、2012年にノーベル賞を受賞した山中伸弥教授らも万能細胞に関わる24個の遺伝子をまとめて細胞に入れて、 一つ一つを取り除く方法に変えて成功に至ったと言っています。 企業の競争力を高めるために研究開発が重要であることは深く認識されています。 研究開発には 成功の王道は有りませんが、考えることは誰でも、いつでも、どこでも出来ます。 人材も資金も無いからこそ出来ると発想を転換して開発に力点を置いた研究開発にチャレンジしてみては如何でしょう。
「台風で避難所のお世話になりました」
技術士(総合技術監理、環境部門) 田脇 康広
昨年の台風19号では神奈川県西部を総雨量1000㎜を超える記録的大雨が襲い、
城山ダム(津久井湖)は緊急放流を決定しました。
防災ニュースでそれを聞いた私は、生まれて初めて家族とともに避難所のお世話になりました。
まさに異常気象で、原因とされる温暖化防止のため、世界の国と地域が燃料転換やライフスタイルの見直しなど
CO2削減に取り組んでいます。私は全国に広がる豊かな森林によるCO2の吸収をさらに拡大することを提案したいと思います。
林野庁の試算によれば、日本の森林によるCO2吸収量は年間8300万㌧です。
これは2017年度の日本のCO2排出量(11.9億㌧)の約7%に相当します。
CO2を回収し地下深くに貯蔵するCCSという手法も研究されていますが、それに比べれば森林吸収はとても健全な気がします。
ただし、CO2を積極的に吸収できるのは手入れのされた元気な森林ですが、実態は放置されるケースが少なくないようです。
関係者に話を聞くと「もちろん国産材は優先したいが、日本の木材は乾燥不足で品質が悪い。
壁や床材で使用して1枚でも反ったら全面張替えとなる。
経営リスクが大きすぎて使えない」「ガスや灯油に比べ燃料供給系が煩雑すぎる。
また木質や水分率により燃焼管理が難しく、設備トラブルのリスクが高い」、「木を伐っても搬出、製材、流通などの経費を払うと下手をすれば赤字で、事業にならない」など否定的な発言ばかりでした。
木を植え、手入れをし、伐った木材で住宅や家具を作って、伐採後はまた植林する。
広葉樹も適切に残し手入れの行き届いた美しい森林は人々の憩いの場にもなります。
同時に、一連の作業の中から地域には雇用が生まれ、若者が戻り、子供たちのにぎやかな声が聞こえてくる。
そんな日本の原風景を取り戻すことはできないでしょうか。
政府は第五次環境基本計画(2018年)で「地域循環共生圏の創出」を打ち出しています。
各地域が地域資源を最大限活用しながら自立・分散型の社会を形成しつつ、地域の特性に応じて資源を補完し支え合うことで、地域の活力が最大限に発揮されることを目指す考え方です。
各地域の資源とは、上の例では「森林」であり、京浜地区では「中小企業のモノづくりの力」など様々です。
現在はあまりにもコストや便利さが優先されすぎ、大切なことが見落とされているように思います。
持続可能な発展を考えればサプライチェーンの大胆な見直し、覚悟が必要ではないでしょうか。
「ものづくり設計における 3D-CAD の進化とコストの激減」
技術士(機械部門) 伊藤 精二
ものづくりにおけるメカの設計手法は基本的には変わりませんが、
設計ツールの機能や製品への要求機能品質は大きく変化してきています。
特にツールは2次元から3次元へ、CADの出現とICT技術の活用レベルの飛躍的な向上を背景に、
解析・試作領域まで、より高機能・高効率化が実現されてきています。
それに伴い、操作の難解度と価格が高いハードルとなってきているのも問題視されています。
下の図は、1980年代からのCAD機能とコストの変遷を示しています。
ICT技術活用レベルは大型コンピュータ(メインフレーム)での集中システムから、ワークステーション/PCでの
分散システム環境に、さらにクラウド・コンピューティングによるモバイル環境下での設計が可能になってきています。
ここで注目すべきは、上述のCAD機能の進化とは逆にそのコストは今や年間6万円以下程度で
稼働コンピュータを加えても10万円台のPCで利用可能になってきています。
当初の大型コンピュータの価格は論外、ワークステーション/PCの分散環境では3000万円レベルで、
パフォーマンスも十分とはいかない場合があったり、設計環境やデータの維持管理には専門のコンピュータエンジニアが必要でした。
そういった要因の障壁も激減し、設計データ等もクラウド上で管理され、小規模グループでも設計者レベルで
設計、解析、試作領域におよぶものづくりの設計環境に3D-CAD/CAE/CAMのツールが利用可能になってきたと思われます。
もちろん、設計そのものは簡単なものではなく、ツールの機能が設計を高品質にするわけではありませんが、
その機能を低コストで活用できるところまできたのではないでしょうか?
より多くの設計者が高いモチベーションとツールを使いこなす設計技術の向上で高品質な「ものづくり設計」を実践して頂きたいと思います。
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