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NPO法人かわさき技術士センター

技術支援ニュース

No.17


2009年 6月号


発行責任 かわさき技術士クラブ

コラム 「ものづくりに取り組む中小企業への国の支援策」  代表幹事 武藤 文男

 経済産業省の「工業統計表」によると、我が国製造業付加価値額 108 兆円の 53%は中小企業が支えてお り、科学技術創造立国を目指す我が国産業において重要な地位を占めております。
 国際競争力を強化し、新たな事業の創出を図って国民経済の健全な発展に寄与するため、 「中小企業ものづくり基盤技術の高度化に関する法律」 (略称:中小ものづくり高度化法)が平成 18 年 4 月に公布され、新技術に関する研究開発への支援策として 中小企業技術革新制度(SBIR)とか、販路開拓、知的 財産支援、 人材育成等に関する各種の支援事業が中小企業庁から「中小企業施策利用ガイドブック」 (毎年 4 月発行、無料配 )として紹介されております。
 本書の取り寄せは下記にご照会下さい。不明の点がありましたら財団経由で当クラブに相談下さい。
     中小企業庁 相談室 TEL.03-3501-4667
     ホ-ムペ-ジ http://www.chusho.meti.go.jp/

MOT 第1回 「中小企業と技術経営 」  技術士(機械部門) 武藤 文男

 技術経営(Management Of Technology:MOT)は今からおよそ 30 年前、アメリカで構築された 経営手法です。その頃、アメリカの製造業は日本企業の躍進ぶりに危機感を募らせていました。マサチ ュセッツ工科大学とかスタンフォ-ド大学で、「技術はあるのになかなか売れる商品ができない」「何故 だろう」というとこらから日本を研究し、「持っている技術を生かす商品づくりをしなくてはいけない」 という結論に達し、それを体系化したのが「MOT」です。それまで MBA(Master of Business Adoministration:経営学修士)など財務重点の経営手法の専門家を養成してきましたが、技術分野の マネジメントに目が向けられるようになったのはその頃です。
 技術の成果は顧客に認められて初めて付加価値を生み、事業へと到達するわけです。
 現在の日本は、30 年前のアメリカの立場に似ています。中国企業が脅威になっています。昔のように モノを作れば売れるという時代ではなくなってきたため、このままではいけないと 10 年程前からこの MOT という概念が注目されてきました。
 経済産業省では“技術経営とは、技術に立脚する事業を行う企業・組織が、持続的発展のために、技 術が持つ可能性を見極めて事業に結びつけ、 経済的価値を創造していくマネジメント”と定義しており、 その目的は“技術投資の費用対効果最大化”にあると説明しております。平成 15 年に文部科学省が「専 門職大学院設置基準」を制定し、平成 18 年には MOT 学会が設立されました。 技術力はあるのに売れる商品が誕生しないと悩む大手企業で技術経営(MOT)の導入が盛んですが、 アメリカから輸入された MOT の概念は大企業とベンチャ-を対象としたものが中心なので、中小企業 の経営者の多くは「自分達には関係ない」と思っているのではないでしょうか。しかし、現在独自技術 を武器に生き残ってきた我が国の一部の中小企業は、意識してかどうかは別にして確実に MOT 手法を 実践してきたと言われています。
 技術経営の重要性は大手も中小企業も同じです。大企業の下請化を脱し、自社固有製品の確立を必要 とする中小企業の皆様こそ MOT への取組みが急がれるのではないでしょうか。 以上

省エネルギー 第 1 回「改正省エネルギー法」  技術士(総合技術監理・電気電子部門) 鈴木 安男

 今回から省エネルギーに関する記事をいろんな切り口から 6 回に分けて連載いたします。
 第 1 回目はエネルギーの使用の合理化に関する法律(略称:省エネ法))の改正です。この省エネ法 は,平成 22年 4月 1日から一部改正になることにより,平成 21年 4月 1日から準備(計測・記録)が 必要となります。そもそもこの法律の目的は,燃料資源の有効な確保のため工場や事業場等の省エネル ギー措置を講ずることを目的としています。この法律の定めるエネルギーとは,燃料・熱・電気(自然 エネルギーを除く)です。今回改正の主な点は,(1)従来の事業単位から事業単位(企業単位)へ, (2)コンビニエンスストアやファーストフード等(特定連鎖化事業者)も対象,(3)報告書等の提出単位 も,事業単位から事業単位(企業単位)に,(4)エネルギー管理統括者(役員クラス)や エネルギー管理企画推進者(実務面の補佐)も各社それぞれ 1 名ずつ選任しなければなりません。
 この改正に伴い,大筋のスケジュールは,以下のとおりです。企業全体でのエネルギー使用量の把握 (平成 21 年 4 月 1 日から 1 年間の計測・記録)→原油換算値(換算値係数をかけて算出,簡単な換算 方法: http://www.eccj.or.jp/law06/xls/07_01.xls) →原油換算値で 1,500kl 以上あれば,平成 22 年度に使用状況届出書を経済産業局に届け出なければなりません。 →特定事業者等の指定→エネルギー管 理統括者やエネルギー管理企画推進者(講習が必要)の選・解任届出→中長期計画書の提出→定期報告 書の提出等となります。判断基準(エネルギーを使用する事業者の努力義務事項(告示)であり,業種 を問わず共通的,包括的なもの)も改正になります。また,事業者ごとに判断基準を個別・具体化した 「管理標準」 (運転管理マニュアル)を定める必要があります。
 今回の改正はエネルギー使用量が 1,500kl 以上の企業が対象になりますが,それ未満の企業であって も,これらの時代の流れを先取りすれば,必ずや企業の経営利益に還元されると考えます。
 当かわさき技術士クラブ(NPO 法人「エコかわさきフロンティア」)は,皆様の省エネ・脱二酸化炭 素化を懇切丁寧に支援いたします。

お役立ち最新情報

[支援事業] 

技術士による
技術窓口相談(無料)
毎週金曜日
13:30~16:30
5 月 1 日、8 日、15 日、22 日、29 日
6 月 5 日、12 日、19 日、26 日 (要予約)
 ワンデイコンサルティング
(無料)
随 時 ・派遣は、川崎市内の中小企業で1日(2時間)程度
・派遣回数は、同一年度で1企業1回
 専門家派遣(有料) 随 時 ・半日(3時間程度)の場合は、20回まで。12,000円/半日
・全日(6時間程度)の場合は、10回まで。24,000円/日
(申込先;川崎市中小企業サポートセンター)

編集後記(今年度のテーマ)
 今年度は解説テーマをMOT(Management Of Technology)と省エネルギーに絞り、それぞれ 6 回の 連載で中小企業の皆様へお伝えしてまいります。経済危機の真っ只中、何かのお役に立てれば幸甚です。

川崎市中小企業サポートセンターとは?
中小企業サポートセンターは、中小企業を応援する総合的な支援機関です。
主な支援事業は次のとおりです。どうぞご利用ください。
★総合相談窓口 ★専門家相談窓口 ★人材育成セミナー ★専門家派遣事業
★かわさき企業家オーディション ビジネス・アイディアシーズ市場」
【問い合わせ先】〒212-0013 川崎市幸区堀川町 66-20 川崎市産業振興会館6階
TEL:044-548-4141 FAX: 044-548-4146 URL: http://www.kawasaki-net.ne.jp/
2009年 6月 1日 発行 発行責任者:かわさき技術士クラブ 代表幹事 武藤文男
E-mail: f-mutoh@df6.so-net.ne.jp

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